素人政談も4回目です。床屋政談も思考力と論理力の訓練にはなります。
ところで、今回は塩野七海のローマ人の物語を全巻読んだ感想を述べておこうかと。
総括すると、『政治とは減税と保障政策につきる』ですかね。
うーむ、古今東西の繁栄の秘訣ですね。
結局、担税と分配の話になるわけですが…。
さて、ローマ人の物語を読み物として見た時、まず、物語性、そして、現実政治への訴求性、最後に、歴史の審判性がテーマになっているように思えます。
ローマの勃興期からハンニバル戦記、そしてルビコンまでは読み物として非常に見せます。
ローマ帝国期と現実政治の問題点の共有点は読み手の知性に訴えかけます。
そしてキリストの勝利に至るまでの歴史の一方向性の無情さと審判は現実が一方向であるという現実をよく思い知らせてくれます。
というところで、通史で見てこのシリーズは非常に良いです。司馬遼太郎の史観に飽きたらこの作品を読んでみるのもよいでしょう。
さて、この作品のテーマを貫く担税と分配を少し掘り下げましょう。
ローマ帝国は本国を非課税とし、属州から1/10税を取っていたそうです。
つまり、列強に入れなかった日本人としてはこの属州の現状と、動性、そして結果を深く洞察する必要があるようです。
まず、世界一の先端知識を誇ったギリシャ人の帝国があります。征服されたギリシア人は猛きローマを征服した。というホラティウスの名言にある通り、彼らは華麗な歴史と勤勉な教養によって経済界をヘブライ人と二分し、東ローマ帝国の没落まで栄華を誇りました。
そして、ここに世界一の信仰を誇ったユダヤ人の王国があります。この国は大日本帝国のように敗戦に従ってローマ帝国に加わったわけではないのですが、二度の反乱の後、滅んでいます。ですが、その後も経済界をギリシャ人と二分し、キリスト教の国教化に従ってローマ帝国の滅亡後の、中世をも生き抜き、イスラエルへと結実しています。
このローマ帝国の優等生の二民族は様々な著作で記述され大いに吹聴されています。
では、他の民族はどうでしょう?
政治というのは塩野氏が書いているように減税と保障政策につきるのかもしれません。
ここで、多少、商学を理解する人間の立場から言うと、赤字国債を発行しないと減税と保障政策を実行できない日本国というのは現実的には破産しているように見えるのですがどうでしょうか?
そして、日本はローマではありません…。
ところで塩野氏の新シリーズは買おうかなあと迷っています。