空想政治読本~ライトノベル-スレイヤーズ-~

ライトノベル初期のど真ん中の作品、スレイヤーズ。
パワー=ポリティクスパワーで、魔族と人間の知られざる暗闘をコミカルに描いた一作です。
今となっては時代遅れの感がしますが、異世界最強VS最強のライトノベル的展開の草分けです。
とにかくこの作品はテンポが良いので、本来破綻しているファンタジー的ストーリーラインが読めてしまい、カタルシスを得ることができます。
ところでこの作品では魔族と呼ばれる悪役も信念を持って活動しており、そこに空想的政治が生まれるわけですが、その根源には仏教、道教的な根原論が流れていて興味深いです。
実際、主人公たちの価値観は老荘の皮を被ったエピュキュリアンの皮を被ったお笑い至上主義者なわけですが、時々、世界の平和とか儒教的なお題目への礼賛、否定が入り混じって興味深いです。
ここにも中国思想的、混沌というものによって通された筋があります。
1巻は賞の受賞処女作だけあって、最初から魔王が最後の敵として現れます。RPGのお約束を逆手に取った意欲作です。
最後の15巻まで読むと、感動のフィナーレに浸れます。
まさか、そこがこうで、ここがこうで、そうなって、そうなるとは…。
モダン社会の冒険譚というのは、こういう作品のように人知れず戦われて、人知れず終わるものなのかもしれません。
現実政治的には人類の進化的に、人類より高度な生命体がいる時は、数でぼこるしかないのですが、夢の世界ですからねえ…。
デモンスレイヤー!

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