自己株式の取得及び保有
7.取得した自己株式は、取得原価を持って純資産の部の株主資本から控除する。
8.期末に保有する自己株式は、純資産の部の株主資本の末尾に自己株式として一括して控除する
自己株式の処分
9.自己株式処分差益は、その他資本剰余金に計上する。
10.自己株式処分差損は、その他資本剰余金から減額する。
自己株式の消却
11.自己株式を消却した場合には、償却手続が完了したときに、償却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額する。
その他資本剰余金の残高が負の値になった場合の取り扱い
12.第10項及び第11項の会計処理の結果、その他資本剰余金の残高が負の値となった場合には、会計期間末において、その他資本剰余金を零とし、当該負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額する。
自己株式の取得、処分及び償却に関する付随費用
14.自己株式の取得、処分及び償却に関する付随費用は、損益計算書の営業外費用に計上する
資本剰余金と利益剰余金の混同の禁止
19.資本剰余金の各項目は、利益剰余金の各項目と混同してはならない。したがって、資本剰余金と利益剰余金への振替は原則として認められない。
資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金
20.資本金及び資本準備金の額の減少によって生ずる剰余金は、減少の法的効力が発生したとき(会社法(平成17年法律第86号)第447条から第449条)に、その他資本剰余金に計上する。
利益剰余金の額の減少によって生ずる剰余金
21.利益準備金の額の減少によって生ずる剰余金は、減少の法的効力が発生したとき(会社法第448条及び第449条)に、その他利益剰余金(繰越利益剰余金)に計上する。
自己株式の取得、処分及び消却に関する付随費用
50.自己株式の取得、処分及び消却時の付随費用(取得のための手数料、消却のための手数料、処分時に募集株式の発行等の手続きを行うための費用等)は、損益計算書に計上する考えと、取得に要した費用は取得原価に含め、処分及び消却に要した費用は自己株式処分差額等の調整とする考えがある。
51.損益計算書に計上する考えは、付随費用を財務費用と考え、損益取引とする方法であり、本会計基準公表以前から消却目的の自己株式の取得に要した付随費用に用いられていた方法である。この考えは、付随費用は株主との間の資本取引ではない点に着目し、会社の業績に関係する項目であるとの見方に基づく。
52.一方、取得に要した費用は取得価額に含め、処分及び消却時の費用は自己株式処分差額等の調整とする考えは、付随費用を自己株式本体の取引と一体と考え、資本取引とする方法である。この考えは、自己株式の処分時及び消却時の付随費用は、形式的には株主との取引ではないが、自己株式本体の取引と一体であるとの見方に基づいており、国際的な会計基準で採用されている方法である。
53.本会計基準では、新株発行費用を株主資本から減額していない処理との整合性から、自己株式の取得、処分及び消却時の付随費用は、損益計算書で認識することとし、営業外費用に計上することとした。
54.なお、この問題は新株発行費の会計処理と合わせ、資本会計の本質に関わる問題であり、今後その本質について十分な議論をする予定である。