本基準は、固定資産を対象に適用する。ただし、他の基準に減損処理に関する定めがある資産、例えば、「金融商品に係る会計基準」における金融資産や「税効果会計に係る会計基準」における繰延税金資産については、対象資産から除くこととする。
1 減損の兆候
資産又は資産グループ(6(1)における最小の単位をいう。)に減損が生じている可能性を示す事象(以下「減損の兆候」という。)がある場合には、当該資産又は資産グループについて、減損損失を認識するかどうかの判定を行う。現存の兆候としては、例えば、次の事象が考えられる。
①資産又は資産グループが使用されている営業活動から生じる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっているか、あるいは、継続してマイナスになる見込みであること
②資産又は資産グループが使用されている範囲又は方法について、当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化が生じたか、生ずる見込みであること
③資産又は資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したか、あるいは、悪化する見込みであること
④資産又は資産グループの市場価格が著しく下落したこと
2 減損損失の認識
(1)減損の兆候がある資産又は資産グループについての減損損失を認識するかどうかの判定は、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行い、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識する。
(2)減損損失を認識するかどうかを判定するために割引前将来キャッシュ・フローを見積もる期間は、資産の経済的耐用年数又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方とする。
3 減損損失の測定
減損損失を認識すべきであると判定された資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失とする。
5 使用価値の算定に際して用いられる割引率
使用価値の算定に際して用いられる割引率は、貨幣の時間価値を反映した割引前の利率とする。
資産又は資産グループに係る将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクが、将来キャッシュ・フローの見積りに反映されていない場合には、割引率に反映させる。
6 資産のグルーピング
(1)資産のグルーピングの方法
減損損失を認識するかどうかの判定と減損損失の測定において行われる資産のグルーピングは、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行う。
(2)資産グループについて認識された減損損失は、帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、当該資産グループの各構成資産に配分する。
1 減価償却
減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行う。
2 減損損失の戻入れ
減損損失の戻入れは、行わない。