会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(企業会計基準24号)

用語の定義

4.本会計基準における用語の定義は次のとおりとする。
(1)「会計方針」とは、財務諸表の作成にあたって採用した会計処理の原則及び手続をいう。
(2)「表示方法」とは、財務諸表の作成にあたって採用した表示の方法(注記による開示も含む。)をいい、財務諸表の科目分類、科目配列及び報告様式が含まれる。
(3)「会計上の見積り」とは、資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合において、財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出することをいう。
(4)「会計上の変更」とは、会計方針の変更、表示方法の変更及び会計上の見積りの変更をいう。過去の財務諸表における誤謬の訂正は、会計上の変更には該当しない。
(5)「会計方針の変更」とは、従来採用していた一般に公正妥当と認められた会計方針から他の一般に公正妥当と認められた会計方針に変更することをいう。
(6)「表示方法の変更」とは、従来採用していた一般に公正妥当と認められた表示方法から他の一般に公正妥当と認められた会計方針に変更することをいう。
(7)「会計上の見積りの変更」とは、新たに入手可能となった情報に基づいて、過去に財務諸表を作成する際に行った会計上の見積りを変更することをいう。
(8)「誤謬」とは、原因となる行為が意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる、次のような誤りをいう。
①財務諸表の基礎となるデータの収集又は処理上の誤り
②事実の見落としや誤解から生じる会計上の見積りの誤り
③会計方針の適用の誤り又は表示方法の誤り
(9)「遡及適用」とは、新たな会計方針を過去の財務諸表に遡って適用していたかのように会計処理することをいう。
(10)「財務諸表の組替え」とは、新たな表示方法を過去の財務諸表に遡って適用していたかのように表示を変更することをいう。
(11)「修正再表示」とは、過去の財務諸表における誤謬の訂正を財務諸表に反映することをいう。

会計上の取扱い

会計方針の変更の取り扱い
会計方針の変更の分類
5.会計方針は、正当な理由により変更を行う場合を除き、毎期継続して適用する。正当な理由により変更を行う場合は、次のいずれかに分類される。
(1)会計基準等の改正に伴う会計方針の変更
会計基準の改正によって特定の会計処理の原則及び手続が強制される場合や、従来認められていた会計処理の原則及び手続を任意に選択する余地がなくなる場合など、会計基準等の改正に伴って会計方針の変更を行うことをいう。会計基準等の改正には、既存の会計基準等の改正又は廃止のほか、新たな会計基準等の設定が含まれる。
なお、会計基準等に早期適用の取扱いが定められており、これを適用する場合も、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う。
(2)(1)以外の正当な理由による会計方針の変更
正当な理由に基づき自発的に会計方針の変更を行うことをいう。
会計方針の変更に関する原則的な取扱い
6.会計方針の変更に関する原則的な取扱いは、次のとおりとする。
(1)会計基準等の改正に伴う会計方針の変更の場合
会計基準等に特定の経過的な取扱い(適用開始時に遡及適用を行わないことを定めた取扱いなどをいう。以下同じ。)が定められていない場合には、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する。会計基準等に特定の経過的な取扱いが定められている場合には、その経過的な取扱い従う。
(2)(1)以外の正当な理由による会計方針の変更の場合
新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する。
7.前項に従って新たな会計方針を遡及適用する場合には、次の処理を行う。
(1)表示期間(当期の財務諸表及びこれに併せて過去の財務諸表が表示されている場合の、その表示期間をいう。以下同じ。)より前の期間に関する遡及適用による累積的影響額は、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首の資産、負債及び純資産の額に反映する。
(2)表示する過去の各期間の財務諸表には、当該各期間の影響額を反映する。

表示方法の変更の取扱い

表示方法の変更に関する原則的な取扱い
13.表示方法は、次のいずれかの場合を除き、毎期継続して適用する。
(1)表示方法を定めた会計基準又は法令等の改正により表示方法の変更を行う場合
(2)会計事象等を財務諸表により適切に反映するために表示方法の変更を行う場合
14.財務諸表の表示方法を変更した場合には、原則として表示する過去の財務諸表について、新たな表示方法に従い財務諸表の組替えを行う。

会計上の見積りの変更の取扱い

会計上の見積りの変更の取扱い
17.会計上の見積りの変更は、当該変更が変更期間のみに影響する場合には、当該変更期間に会計処理を行い、当該変更が将来の期間にも影響する場合には、将来にわたり会計処理を行う。

過去の誤謬の取扱い

過去の誤謬に関する取扱い
21.過去の財務諸表における誤謬が発見された場合には、次の方法により修正再表示する。
(1)表示期間より前の期間に関する修正再表示による累積的影響額は、表示する財務諸表のうち、最も古い期間の期首の資産、負債及び純資産の額に反映する。
(2)表示する過去の各期間の財務諸表には、当該各期間の影響額を反映する。