四半期財務諸表に関する会計基準(企業会計基準12号)

四半期財務諸表の範囲等

四半期財務諸表の範囲
四半期連結財務諸表の範囲
5.四半期連結財務諸表の範囲は、企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」(以下「企業会計基準第25号」という。)に従って、1計算書方式による場合、四半期連結貸借対照表、四半期連結損益及び包括利益計算書、並びに四半期連結キャッシュ・フロー計算書とする。また、2計算書方式による場合、四半期連結貸借対照表、四半期連結損益計算書、四半期連結包括利益計算書及び四半期連結キャッシュ・フロー計算書とする。
5-2.前項にかかわらず、第1四半期及び第3四半期において、四半期連結キャッシュ・フロー計算書の開示の省略を行うことができる。この場合には、第1四半期より行うものとする。
四半期個別財務諸表
6.四半期個別財務諸表の範囲は、四半期個別貸借対照表、四半期個別損益計算書及び四半期個別キャッシュ・フロー計算書とする。
ただし、四半期連結財務諸表を開示する場合には、四半期個別財務諸表の開示は要しない。
6-2.前項にかかわらず、第1四半期及び第3四半期において、四半期個別キャッシュ・フロー計算書の開示の省略を行うことができる。この場合には、第1四半期より行うものとする。

四半期財務諸表の作成基準

四半期財務諸表の性格
39.四半期財務諸表の性格付けについては、中間財務諸表と同様、「実績主義」と「予測主義」という2つの異なる考え方がある。
「実績主義」とは、四半期会計期間を年度と並ぶ一会計期間とみた上で、四半期財務諸表を、原則として年度の財務諸表と同じ会計方針を適用して作成することにより、当該四半期会計期間に係る企業集団又は企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する情報を提供するという考え方である。これは、我が国の中間作成基準や国際会計基準で採用されている考え方である。また、カナダ基準も、基本的には「実績主義」を採用している。
一方、「予測主義」は、四半期会計期間を年度の一構成部分と位置付けて、四半期財務諸表を、年度の財務諸表と部分的に異なる会計方針を適用して作成することにより、当該四半期会計期間を含む年度の業績予測に資する情報を提供するという考え方である。昭和48年に制定された米国基準や我が国の平成10年改訂前の「中間財務諸表作成基準」は、この考え方に基づいている。
当委員会では、「実績主義」と「予測主義」のいずれの考え方によるべきかという点について、国際的な会計基準の動向も踏まえて検討を行った。その結果、本会計基準では、次のような理由から、「実績主義」を基本とすることとした。
(1)平成10年3月に企業会計審議会から公表された「中間連結財務異諸表等の作成基準の設定に関する意見書」において、①中間会計期間の実績を明らかにすることにより、将来の業績予測に資する情報を提供するものと位置付けることがむしろ適当と考えられること、②恣意的な判断の介入の余地や実行面での計算手続の明確化などを理由として、中間財務諸表等の性格付けが「予測主義」から「実績主義」に変更されたこと
(2)季節変動制については、「実績主義」による場合でも、十分な定性的情報や前年同期比較を開示することにより、財務諸表利用者を誤った判断に導く可能性を回避できると考えられること
(3)当委員会が実施した市場関係者へのヒアリング調査や当委員会等での審議を通じて確認した我が国の市場関係者の意見では、「実績主義」における実務処理の容易さが指摘されただけでなく、「予測主義」によると会社の恣意性が入る可能性があり、また、会社ごとに会計方針が大きく異なると企業比較が困難になるとの指摘が多かったこと
(4)平成12年9月に改訂されたカナダ基準では、「予測主義」の弊害を掲げて「実績主義」が望ましいと判断されたこと