2.本会計基準における用語の定義は次のとおりとする。
(1)「自社株式オプション」とは、自社の株式(財務諸表を報告する企業の株式)を原資産とするコール・オプション(一定の金額の支払により、原資産である自社の株式を取得する権利)をいう。新株予約権はこれに該当する。
なお、本会議基準においては、企業が、財貨又はサービスを取得する対価として自社株式オプションを取引の相手方に付与し、その結果、自社株式オプションを取引の相手方に付与し、その結果、自社株式オプション保有者の権利行使に応じて自社の株式を交付する義務を負う場合を取り扱っている。
(2)「ストック・オプション」とは、自社株式オプションのうち、特に企業がその従業員等に、報酬として付与するものをいう。ストック・オプションには、権利行使により対象となる株式を取得することができるというストック・オプション本来の権利を獲得すること(以下「権利の確定」という。)につき条件が付されているものが多い。当該権利の確定についての条件(以下「権利確定条項」という。)には、勤務条件や業績条件がある。
権利確定日以前の会計処理
4.ストック・オプションを付与し、これに応じて企業が従業員等から取得するサービスは、その取得に応じて費用として計上し、対応する金額を、ストック・オプションの権利の行使又は、失効が確定するまでの間、貸借対照表の純資産の部に新株予約権として計上する。
5.各会計期間における費用計上額は、ストック・オプションの公正な評価額のうち、対象勤務期間を基礎とする方法その他の合理的な方法に基づき当期に発生したと認められる額である。ストック・オプションの公正評価額は、公正な評価単価にストック・オプション数を乗じて算定する。
6.ストック・オプションの公正な評価単価の算定は、次のように行う。
(1)付与日現在で算定し、第10項(1)の条件変更の場合を除き、その後は見直さない。
(2)ストック・オプションは、通常、市場価格を観察することができないため、株式オプションの合理的な価額の見積もりに広く受け入れられている算定技法を利用することとなる。算定技法の利用にあたっては、付与するストック・オプションの特性や条件等を適切に反映するよう必要に応じて調整を加える。ただし、失効の見込みについてはストック・オプション数に反映させるため、公正な評価単価の算定上は考慮しない。
7.ストック・オプション数の算定及びその見直しによる会計処理は、次のように行う。
(1)付与されたストック・オプション数(以下「付与数」という。)から、権利不確定による失効の見積数を控除して算定する。
(2)付与日から権利確定日の直前までの間に、権利不確定による失効の見積数に重要な変動が生じた場合(第11項の条件変更による場合を除く。)には、これに応じてストック・オプション数を見直す。
これによりストック・オプション数を見直した場合には、見直し後のストック・オプション数に基づくストック・オプションの公正な評価額に基づき、その期までに費用として計上すべき額と、これまでに計上した額との差額を見直した期の損益として計上する。
(3)権利確定日には、ストック・オプション数を権利の確定したストック・オプション数(以下「権利確定数」という。)と一致させる。
これによりストック・オプション数を修正した場合には、修正後のストック・オプション数に基づくストック・オプションの公正な評価額に基づき、権利確定日までに費用として計上すべき額と、これまでに計上した額との差額を権利確定日の属する期の損益として計上する
権利確定日後の会計処理
8.ストック・オプションが権利行使され、これに対して新株を発行した場合には、新株予約権として計上した額(第4項)のうち、当該権利行使に対応する部分を払込資本に振り替える。
なお、新株予約権の行使に伴い、当該企業が自己株式を処分した場合には、自己株式の取得原価と、新株予約権の帳簿価額及び権利行使に伴う払込金額の合計額との差額は、自己株式処分差額であり、平成17年12月改正の企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」第9項、第10項及び第11項により会計処理を行う。
9.権利不行使による失効が生じた場合には、新株予約権として計上した額(第4項)のうち、当該失効に対応する部分を利益として計上する。この会計処理は、当該失効が確定した期に行う