4.「事業分離」とは、ある企業を構成する事業を他の企業(新設される企業を含む。)に移転することをいう。なお複数の取引が一つの事業分離を構成している場合には、それらを一体として取り扱う。
5.「分離元企業」とは、事業分離において、当該企業を構成する事業を移転する企業という。
6.「分離先企業」とは、事業分離において、分先企業からその事業を移転する企業をいう。
7.「結合当事者」とは、企業結合に係る企業をいい、このうち、他の企業又は他の企業を構成する事業を受け入れて対価(現金等の財産や自社の株式)を支払う企業を「結合企業」、当該他の企業を「非結合企業」という。また、企業結合によって結合された1つの報告単位となる企業を「結合後企業」という。
10.分離元企業は、事業分離日に、次のように会計処理する。
(1)移転した事業に関する投資が清算されたとみる場合には、その事業を分離先企業に移転したことにより受け取った対価となる財の時価と、移転した事業に係る株主資本相当額(移転した事業に係る資産及び負債の移転直前の適正な帳簿価格による差額から、当該事業に係る評価・換算差額等及び新株予約権を控除した額をいう。以下同じ。)との差額を移転損益として認識するとともに、改めて当該受取対価の時価にて投資を行ったものとする。
現金など、移転した事業と明らかに異なる資産を対価として受け取る場合には、投資が清算されたとみなされる。ただし、事業分離後においても、分離元企業の継続的関与(分離元企業が、移転した事業又は分離先企業に対して、事業分離後も引き続き関与すること)があり、それが重要であることによって、移転した事業に係る成果の変動性を従来と同様に負っている場合には、投資が生産されたとみなされず、移転損益は認識されない。
(2)移転した事業に関する投資がそのまま継続しているとみる場合、移転損益を認識せず、その事業を分離先企業に移転したことにより受け取る資産の取得原価は、移転した事業に係る株主資本相当額に基づいて算定するものとする。
子会社株式や関連会社株式となる分離先企業の株式のみを対価として受け取る場合には、当該株式を通じて、移転した事業に関する投資が継続しているとみなされている。
いずれの場合においても、分離先企業において、事業分離により移転した事業に係る資産及び負債の帳簿価額は、事業分離日の前日において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠した適正な帳簿価額のうち、移転する事業に係る金額を合理的に区分して算定する。
11.事業分離に要した支出額は、発生時の事業年度の費用として処理する。
12.移転損益を認識する場合には、受取対価となる財の時価は、受取対価が現金以外の資産等の場合には、受取対価となる財の時価と移転した事業の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定する。
13.市場価格のある分離先企業の株式が受取対価とされる場合には、受取対価となる財の時価は、事業分離日の株価を基礎にして算定する。
子会社を分離先企業として行われた事業分離の場合
14.現金等の財産のみを受取対価とする事業分離において、子会社へ事業分離する場合、分離元企業(親会社)は次の処理を行う。
(1)個別財務諸表上、共通支配下の取引として、分離元企業が受け取った現金等の財産は、移転前に付された適正な帳簿価額により計上する。この結果、当該価額と移転した事業に係る株主資本相当額との差額は、原則として、移転損益として認識する。
(2)連結財務諸表上、移転損益は、企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)における未実現損益の消去に準じて処理する。
関連会社を分離先企業として行われた事業分離の場合
(1)個別財務諸表上、分離元企業が受け取った現金等の財産は、原則として、時価のより計上する。この結果、当該時価の移転した事業に係る株主資本相当額との差額は、原則として、移転損益として認識する。
(2)連結財務諸表上、移転損益は、企業会計基準第16号「持分法に関する会計基準(以下「持分法会計基準」という。)における未実現損益の消去に準じて処理する。
子会社や関連会社以外を分離先企業として行われた事業分離の場合
16.現金等の財産のみを受取対価とする事業分離において、子会社や関連会社以外へ事業分離する場合、分離先企業が受け取った現金等の財産は、原則として、時価により計上し、移転した事業に係る株主資本相当額との差額は、原則として、移転損益として認識する。
分離先企業が子会社となる場合
27.事業分離前に分離元企業は分離先企業の株式を有していないが、事業分離により分離先企業が新たに分離元企業の子会社となる場合、分離元企業(親会社)は次の処理を行う。
(1)個別財務諸表上、移転損益は認識せず、当該分離元企業が受け取った分離先企業の株式(子会社株式)の取得原価は、移転した事業に係る株主資本相当額に基づいて算定する。
27.移転損益は、原則として、特別損益に計上する。
被結合企業の株主に係る会計処理
32.被結合企業の株主は、企業結合日に、次のように会計処理する。
(1)被結合企業に関する投資が生産されたとみる場合には、被結合企業の株式と引き換えに受け取った対価となる財の時価と、被結合企業の株式に係る企業結語豪直前の適正な帳簿価額との差額を交換損益として認識するとともに、改めて当該受取対価の時価にて投資を行ったものとする。
現金など、被結合企業の株式と明らかに異なる資産を対価として受け取る場合には、投資が清算されたとみなされる。ただし、企業結合後においても、被結合企業の株主の継続的関与(被結合企業の株主が、結合後企業に対して、企業結合後も引き続き関与すること)があり、それが重要であることによって、交換した株式に係る成果の変動性を従来と同様に負っている場合には、投資が清算されたとみなされず、交換損益は認識されない。
(2)被結合企業に関する投資がそのまま継続しているとみる場合、交換損益を認識せず、被結合企業の株式と引き換えに受け取る資産の取得原価は、被結合企業の株式に係る適正な帳簿価額に基づいて算定するものとする。
被結合企業が子会社や関連会社の場合において、当該被結合企業の株主が、子会社株式や関連会社株式となる結合企業の株式のみを対価として受け取る場合には、当該引き引き換えられた結合企業の株式を通じて、被結合企業(子会社や関連会社)に関する事業投資を引き続き行っていると考えられることから、当該被結合企業に関する投資が継続しているとみなされる。
33.交換損益を認識する場合の受取対価となる財の時価は、受取対価が現金以外の資産等の場合には、受取対価となる財の時価と引き換えた被結合企業の株式の時価のうち、より高い信頼性をもって測定可能な時価で算定する。
34.市場価格のある結合企業の株式が受取対価とされる場合には、受取対価となる財の時価は、企業結合日の株価を基礎にして算定する。
損益計算書における表示
53.交換損益は、原則として、特別損益に計上する。